学生取材

【取材】日本とバングラデシュを笑顔でつなぐ『dot.U』

こんにちは、TAZUNA学生取材ライターのほっしーです。

今回は、バングラデシュへの子どもたちへの教育支援を行っている「dot.U(ドットユー)」さんを取材させていただきました。

 

「dot.U」は、バングラデシュの子どもたちへ教育支援を行っている団体です。実際に、毎夏バングラデシュへ訪問しています。また、日本の小学校で「出前授業」も行い、子どもたちにバングラデシュの現状について伝えています。

 

 

この記事を通して、

  • 海外支援に興味がある学生
  • 発展途上国に興味がある学生
  • バングラデシュに興味がある学生

に有益な情報を届けられたらと思います。

 

インタビューに答えてくださったのは、dot.U代表の山尾晴乃さんと半崎智香さんです。

 

 

山尾晴乃(やまお はな)さん

金沢大学の3年生。2018年度dot.U代表。好きなことは食べること。世界中の美味しいものを食べ尽くしたい。新入生の時に深く考えずに入ったdot.Uでバングラデシュに魅了される。1人でも多くのひとにバングラデシュについて知ってもらいたい。

 

 

 

半崎友香(はんざきともか)さん

金沢大学国際学類3年のです。国際協力サークルdot.Uに所属しています。趣味はドイツ映画鑑賞で、夏からドイツに留学します🇩🇪

 

dot.Uの活動内容や団体参加のきっかけ、発展途上国の現状まで様々な内容をお聞きしました。

海外支援やボランティア活動に興味がある方は、是非お読みください!

 

dot.Uってどんな活動をしているの?

 

ほっしー
ほっしー
早速ですが、dot.Uさんどのような活動をされているのですか?

 

山尾晴乃
山尾晴乃

ざっくり言うと、バングラデシュの子どもたちへの教育支援を行っています。

実際、毎年夏にスタディツアーとして1週間ほどバングラデシュを訪問しています。私たちが作った「職業図鑑」という子供たち向けの職業紹介の本を配ったり、紙芝居や運動会を通して子どもたちと交流したり。他にも現地のNGO団体を訪問なども行っていますね。

また、日本の子どもたちにバングラデシュや世界の貧困について知ってもらおうと、日本の小学校で「出前授業」も行っています。

 

ほっしー
ほっしー
実際に毎年夏にバングラデシュに行っている、というのは特徴的ですね。

現地で配っている職業図鑑とは、具体的にどういったものなのですか?

 

山尾晴乃
山尾晴乃
日本にも13歳からのハローワークというのがあると思うんですけど、それをモデルにしたバングラデシュ版の職業紹介の本です。

将来の夢や自分の進路について考えるときに、どんな仕事があるのか、またどうやったらその職業に就けるのかなど、参考になる情報を載せています。

掲載している職業は、お医者さんや学校の先生、ニュースキャスター、また現地の人気スポーツであるクリケットの選手など40種類以上あります。

 

ほっしー
ほっしー
40種類は多いですね……!

職業図鑑は具体的にどのように作成したのですか?

 

山尾晴乃
山尾晴乃
スタディツアーでバングラデシュに行った時、現地で仕事をしている人に実際にインタビューを行いました。

インタビューの内容を日本語で編集し、それを英語に直し、またそれをベンガル語に直し……という風にしてコツコツ作りましたね。

バングラデシュではベンガル語が使われているのですが、英語からベンガル語への翻訳については、現地の学生にやってもらって。完成までに5年かかりましたね。

 

ほっしー
ほっしー
なかなか気の遠くなるような作業ですね。

どうして職業図鑑を作ろうと思ったのですか?

 

山尾晴乃
山尾晴乃
バングラデシュでは、途中で学校を辞めてしまうドロップアウト率がすごく高いんです。そもそも学校に行かなくてもいいや、という考えもまだ根強くあって。

その原因の一つに、子供の数に対して先生の数がすごく少ない、というのが挙げられます。60人、70人の子どもたちに対して先生が1人しかいない、なんてことも。

生徒の数が多すぎて先生の目が行き届かないから、生徒が授業内容を理解しているのかも分からない。毎日ちゃんと学校に来ているのかも分からない。そんな状態です。

一応進級テストみたいなものがあるのですが、それに受からないと次の学年に行けないんですね。でも進級テストに受からないから次の学年に行けない。でも、もう1年同じ学年をしても、状況は変わらないじゃないですか。だったらもう学校行かなくてもいいやってなっちゃうんです。

 

ほっしー
ほっしー
なかなかカオスな状況ですね……。

 

山尾晴乃
山尾晴乃
初めて2012年に先輩方がバングラデシュに行った時この問題に直面し、そもそも勉強するためのモチベーションを上げることが必要なんじゃないか、と考えました。

貧しい家庭にいる子やスラムにいるような子は、自分の生きている周りのことしか知りようがありません。自分の親がゴミ拾いで生活していたり、物乞いで生活していたりしたら、子供たちもそのことしか知らない。でも実際それでも生きていけるんです。

そこに対して、何か新しい情報を得ることで、「勉強したら自分の将来も選べるようになるんだよ」ということをせめて知ってもらえたらと思っています。

 

ほっしー
ほっしー
自分で問題を見つけて、実際に取り組んでいること尊敬します。

 

バングラデシュに対して日本で出来ることを「出前授業」

 

ほっしー
ほっしー
小学校にて出前授業を行っていると先程お聞きしましたが、出前授業を始めたきっかけを教えてください。

 

山尾晴乃
山尾晴乃
実は2016年にバングラデシュでテロがあり、日本人で開発資源に携わっていた方が犠牲になってしまったんですね。

2016年にもスタディツアーは企画されていたんですけど、バングラデシュへの日本人の渡航が禁止になってしまって。その年のスタディツアーはなくなってしまいました。

そこで自分たちのプロジェクトが1回進まなくなった時、バングラデシュに対して支援をするのもいいが、日本の子どもたちに対しても何かできることはあるはず、と考えました。

国際協力でどこかの国を支援しようと考えた時、直接的な支援だけじゃなくて、その国について知っている人を増やすことも支援になるんじゃないかな、と。

そこから毎年冬に、バングラデシュや世界の貧困について知ってもらうための「出前授業」を行っています。毎年内容は違うのですが、実際にバングラデシュに行ったことがある学生による体験談、日本とバングラデシュの繋がり、また世界の貧困などについて紹介しました。

 

ほっしー
ほっしー
小学生の前で話す機会なんて中々ないですよね。緊張したりしませんでしたか?

 

山尾晴乃
山尾晴乃
いや、めちゃめちゃ緊張しました。1コマの授業ですごく消耗して、学校の先生にはなれないなと思いました(笑)

また、バングラデシュについて知ることは良いことなんですけど、「途上国の人やバングラデシュの人ってかわいそう、日本に生まれてよかったね」、だけで終わって欲しくなくて。授業をする時、そこに一番気を付けました。

授業が終わってから、「学校に行けない子供たちがいるなんて考えたこともなかった」、とか「何か自分にもできることがあればやってみようと思った」というような感想を貰って、出前授業をやってよかったな、と感じました。

 

dot.Uを設立したきっかけ

 

ほっしー
ほっしー
dot.Uができたきっかけを教えてください。

 

山尾晴乃
山尾晴乃
バングラデシュでストリートチルドレンの支援をしているエクマットラという団体があるんですね。そこの創設者の1人に渡辺大樹さんという方がいまして、実はこの方金沢大学の卒業生なんです。

2012年に渡辺さんが金沢大学で講演をされる機会があって。当時その話を聞いていた学生が渡辺さんの考えに共鳴し、子どもの教育支援をしたいということでこのサークルが作られました。

基本的にdot.Uとエクマットラの活動自体は繋がっていないのですが、宿泊先であったり、現地の方とアポを取る時にお手伝いしてもらっています。

 

ほっしー
ほっしー
なるほど、だからバングラデシュなんですね。

ちなみに「dot.U」という名前にはどのような想いが込められているのですか?

 

山尾晴乃
山尾晴乃
「dot」と「. (ピリオド)」で点が2つあって、その下に「U」を付けるとニコちゃんマークになるんです。

日本とバングラデシュの点と点を繋いで子どもたちの笑顔を作ろう、という想いが込められています。

 

ほっしー
ほっしー
ほんとだ、うまく考えられていますね!

dot.Uはどのようなメンバーから構成されているんですか?

 

山尾晴乃
山尾晴乃
現在は金沢大学生の1年生から3年生までで活動しています。やはりdot.Uは国際学類公認サークルということもあって、国際学類のメンバーが多いですね。

 

ほっしー
ほっしー
スタディツアーにサークルメンバー以外の人が参加することは可能ですか?

 

山尾晴乃
山尾晴乃
はい、私たちの活動に参加してもらうことにはなりますが、スタディツアーに参加することは可能です。にも他大学の方が参加した例があります。

その方は、スタディツアーに行ってからバングラデシュに目覚めちゃって、学部卒業後、東京外国語大学の院に行き、1年間バングラデシュにインターンに行きました。

また、今年卒業されたdot.Uの先輩で、エクマットラに1年間インターンされた方もいます。

 

ほっしー
ほっしー
バングラデシュへの愛がすごいですね。やはりバングラデシュに何かそれほどの魅力があるということなんでしょうか。

 

山尾晴乃
山尾晴乃
はい、とても面白い国だと思います。バングラデシュは、一時期は世界最貧国とも言われていたんですけど、首都などの都市部はすごく発展しています。

私たちが支援する必要ないんじゃないかとも思ったくらいなんですけど、やはり国民の格差はすごく大きくて。

でも、そんな刻な状況にいるはずの人たちがやたら明るくて、いい意味で物事を深刻に捉えていないんです。

あと、今人口がすごく増えているというのもあって、これから発展するぞ、という活気がものすごくある国です。これは日本には無いと思います。

 

印象に残っていること

 

ほっしー
ほっしー
何かバングラデシュに行って印象に残っていることはありますか?

 

山尾晴乃
山尾晴乃
去年の夏に初めてスラムに行ったときがすごく印象的でした。

それまで、スラムって臭いにおいがしたり、衛生的に悪い感じなのかなって思っていたんですが、実際全然そうでもなくて。お昼ごろに行ったんですけど、みんなお昼ご飯を作っていて、すごくおいしそうな匂いがするです。

貧しい人は貧しい人なりに、市場で余ったものもらうなど、食料を得る手段があるんですね。「飢えない貧困」ってあるんだなと感じました。

だから、最下層からこんなのおかしいっていう反発も中々起こらない。でもどんどん格差は広がっていく。貧困に対して危機感を感じていないんです。「発展途上国って何なんだろう」と考えさせられました。

 

半崎友香
半崎友香
私は、支援活動とは関係ないのですが、車に乗って現地を移動している時、ずーっとクラクションが鳴り続けているのが印象的でした。

バングラデシュは、まだ交通ルールが整備されていなくて、信号機や横断歩道もありません。1つの車線に車や人力車など色んな乗り物がごちゃまぜで通っているという状態です。

逆に日本に帰ってきたときに静かだけど、なんか寂しいなと感じました(笑)。

 

これからの活動

 

ほっしー
ほっしー
これからどのような活動をしていく予定ですか?

 

山尾晴乃
山尾晴乃
先程職業図鑑を作って配布したという話をしたんですけど、実際に現地で職業図鑑を配ってみると、いろいろと問題がありまして。

まず、配ったベンガル語に誤字があったり、意味が伝わらないベンガル語になってしまっている、という指摘を受けました。現地の大学生何人かにチェックしてもらう体制はあったのですが、日本語で編集したものを英語にして、それをベンガル語にしているので、やはりニュアンスが違っているようで。

また、インタビューを開始してから本として完成するのに5年かかってしまったので、情報が古いんじゃないか、とも言われました。バングラデシュはすごい勢いで発展してるので教育制度や資格制度もどんどん変わっています。その状況に内容が追いついていないようでした。

そして、元々文章がしっかり読める状況にない子たちをターゲットにしていたのに、職業図鑑として本にしたことで対象年齢が上がってしまっているという問題も見つかりました。文字がそもそも読めない子たちに紙媒体という形で提供するのに無理がある、と。

 

ほっしー
ほっしー
せっかく5年もかけて作ったのに……。中々シビアですね。

 

山尾晴乃
山尾晴乃
だから、今年の夏からまたインタビューをし直す予定です。後からでも情報を編集できるように、これからは職業図鑑をデータ化しようと考えています。

バングラデシュでも、携帯電話やスマートフォンの普及率はすごく高いんです。だからオンラインで閲覧できる形のほうが望ましいのかな、と考えています。

字が読めない、またインターネットにアクセスできない子供たちに対しては動画を作ろうと思っています。世界中のたくさんのNGO団体がバングラデシュに支援に来ているんです。そのNGO団体の内、スラムを支援している団体に無料で動画を提供して、活動に使ってもらおうと考えています。

また、学校にしっかり行けている層の子も、情報にアクセスできないという点では一緒です。高所得層の子どもたちは、お医者さんかエンジニアになりなさいっていう親の圧がすごくて、この2つしか選択肢を知らないんです。

だから、とりあえず医者かエンジニアを目指して勉強を続けて、希望の大学に入れなかった時にはもう終わりだ、みたいな。教育は受けているのにその次の手が考えられないんです。だから、そんな子供たちにもこの本は有効じゃないかと考えています。

 

ほっしー
ほっしー
職業図鑑の新たな可能性も見据えているんですね!

最後にこの記事を見ている皆さんにメッセージをお願いします。

 

山尾晴乃
山尾晴乃
dot.Uは、発展途上国や国際協力に興味がある人を、募集しています。

バングラデシュは、治安がよくなかったりとマイナスな印象もありますが、はまる人ははまる、すごく活気あふれたところです。バングラデシュに行きたいなと思ったら、是非連絡してください!

 

インタビューに答えていただきありがとうございました!

 

 

自分たちでバングラデシュの子どもたちへ何ができるんだろうと考え、実際に行動に移している姿が素晴らしいと感じました。

また、私自身「飢えない貧困」の話を聞いて、今まで抱いていた発展途上国のイメージが崩され、途上国の教育支援について考えさせられるきっかけになりました。

是非この記事を読んで心惹かれた人は、dot.Uさんに連絡をしてみてはいかがでしょうか?

 

 

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